アスベストの心配はなくなった?どこに使用されていたの?【大規模修繕】
大規模修繕工事時や撤去工事、また普段の生活において、身体に深刻な悪影響を及ぼしたとされるアスベスト問題。過去にニュースなどで大きく取り上げられたのを覚えている方もいるのではないでしょうか。
近年ではあまり聞かなくなったこの言葉ですが、もう私たちが気をつけなければいけないことは無くなったのでしょうか?
1. アスベストが体に及ぼす影響
アスベストは「石綿(いしわた)」とも呼ばれる天然の非常に細かい鉱石繊維です。耐熱性や保温性、耐磨耗性などがあり比較的安価なため、とても優れた建築資材とされていました。
しかしアスベストは人の毛よりも細かいという特徴から空気中に浮遊しやすく、さらに人体に吸入されると肺胞に吸着しやすい性質により重大な健康被害につながることが分かり、今では使用を禁止されています。結果的には肺繊維症や悪性中皮腫などの原因になると言われており、肺がんを起こして最悪死に至るケースもあります。
これらの病気には潜伏期間があり、悪性中皮腫は20~50年、肺がんは15~40年と言われています。過去にアスベストを吸い込んだ可能性があり、呼吸困難や咳の症状があるなど体調に不安な点がある方は、一度専門の医療機関にご相談ください。
2. アスベストが使われている場所
問題が発覚する前、アスベストは建材として非常に万能だという評価だったため、人が多く集まる場所から住宅に至るまであらゆるところに使われていました。建物にアスベストが使われているかどうかは、築年数である程度見分けることもできます。
1975年に「特定化学物質等障害予防規則の改正」が施工されたため、建物に対してアスベストの含有率が5%を上回る施工が禁止になりました。逆に言うと施工される前、つまり1975年以前の建物にはアスベストが使用されている可能性が高いことになります。
3. 現代のアスベスト問題
2006年には「労働安全衛生法施行令」の改正により、アスベストの含有量が0.1%以上になるものは製造も使用も原則禁止となりました。それ以降の建物や新しい住宅に関しては問題ないでしょう。
しかしそれ以前に建てられた、特にお風呂場や台所は使われたことが多かったとされているので注意しましょう。
また大規模修繕工事や建物の撤去作業に長年携わっているという方も同じく注意が必要です。もし過去に吸い込んでしまっていたり、不安の方は厚生労働省がひいているガイドラインにそって対応していただくことをおすすめします。